弾き語りのレコーディングで難しいのはステレオ感。ギターやボーカルはきれいに録れているのに、その音が正面の狭い範囲から聞こえてきてのっぺりしてしまう。それぞれの音は悪くないのに、なぜか組み合わせると音に幅が出ない。そこでリバーブをかけて幅を膨らまそうとするけれど、音が奥に行ってしまうばかりで幅は広がらない。そんな経験をしている弾き語りすとはたくさんいると思います。

僕もまさにそののっぺり感に苦しんでいましたが、機材を買っては売りを繰り返して試行錯誤し、やっと幅が出せるようになったので、その方法をご紹介します。これで皆さんが無駄なお金を使わなくてすむようになれば幸いです。

まずはのっぺりした音を聴いてください。

 

この動画ではボーカルもギターもコンプレッサーとリバーブだけがかかっていて、左右から同じ音が出ています。実は人間の耳は右からも左からも同じ音が聞こえると、音が正面から来ていると判断をします。その結果、ステレオ感のないのっぺりした音と認識する。これが弾き語りののっぺり感の正体です。

これにステレオ感を加えるためには、左右から若干異なる音を出す必要があります。と言ってもほんの少し音の出るタイミングや音色を変えるだけ。

ボーカルにはスラップディレイというものをかけます。ディレイはやまびこのように同じ音を返すエフェクトで、スラップディレイは左右から異なるタイミングで1回ずつ音を返すディレイを指します。自分の出した声が、右耳→左耳の順でやまびこになって返ってくるイメージです。これを50m sec程度の短い時間でうっすらとかけると左右に広がりが出ます。DAWを使っている人はプラグインのディレイについていると思うのでやってみてください。僕はDAWを使っていないので、マルチエフェクトプロセッサーのピンポンディレイを使って同じ効果を出しました。DAWを使わない人なんていないと思いますが、ご参考まで。

ちなみにスラップディレイは音を左右に広げてはくれますが、奥行きを持たせたり音と楽器をなじませる効果はないので、リバーブと併用してくださいね。

ギターの広がりもスラップディレイで出せるのですが、僕の場合は機材が足りなかったのでマイクを追加することにしました。これまではエレアコのピックアップの音だけ拾っていたのですが、追加でマイクを2本立てて、ピックアップの音をセンターに、マイクの音は左右にPANしました。

これによって左右に音の広がりを出せるのですが、左右で若干違う音色じゃないとステレオ感が出ないので、同じ音にならないように工夫してください。例えば違うマイクを2本用意する、EQの設定を変える、マイクを置く位置を変える(1本は12フレット付近を狙って、もう1本はブリッジあたりを狙う)などです。また、左右に振るマイクは、音がこもるのを避けるためにあまり低音が出すぎないものの方がよいと思います。響きを加えたいだけなので低音はあまり必要ありませんし、そういうマイクの方が安いですしね。

こうしてステレオ感を加えた音源がこちらです。臨場感が出てよい音になっていると思いますので、もしよかったら試してみてください。ちなみに、こっちの動画は上の動画より再生数ずっとが少ないので、ステレオ感と再生数は関係ないみたいです。